日本は世界的にも稀なほど言語的統一が果たされ、地域格差も少なく、識字水準も極めて高いため、言語というと何か「自然」から生まれたもので、一つの「国」の人々が一つの言葉を話すのが当たり前のように感じられてしまうことが多いですが、言うまでもなく言語は極めて政治的な構成物です。言語の発生そのものは「自然」かもしれませんが、それが「国語」化され統一・共通化されるのは、あくまで政治的プロセスによるものです。書記に至っては完全に人工物であり、その標準化は純粋に言語政策上の決定であるに過ぎません。 この国家運営上極めて重要な言語政策について概説したのが、この『言語と国家-言語計画ならびに言語政策の研究』。著者ドイツ人ですが、日本にも長く滞在し日本語を理解し、日本語の例も多く取り上げられているので、親しみ易いです。 いくつか面白かったところを引用します。 バハサ・インドネシア語には子音集団がない。(・・・)