まちのあちこちに置(お)かれた小(ちい)さな木(き)の扉(とびら)。それは、妖精(ようせい)のおうちの入(い)り口(ぐち)―― 3年前、滋賀県東近江市に現れた「妖精の扉」。うわさを耳にした子どもたちが、扉の前に手紙を置き、妖精との文通が始まった。いま市内70カ所、全国200カ所以上に広がり、さらに増え続けている。 東近江市八日市本町の英語教室の入り口近くにある木の根元に、高さ5センチほどの小さな赤い扉がある。 「ようせいさんへ」 いま小学4年の大内美和さん(9)は3年前、扉を見つけ、手紙を書いた。「おともだちになってね」 数日後、扉の前に返信があった。「いいよ」 木の筒のポストが新たに置かれ、文通が始まった。「としはいくつですか」「まほうがっこうの2年生だよ」。妖精に送った手紙は10通を超えた。 扉を置き始めたのは、市内の子ども向けのイベント企画団体「アート探検隊ピカソ・スイッチ」。代表の