長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、韓国で見つかった仏像をめぐる訴訟で7日、韓国の浮石寺(プソクサ)が「倭寇(わこう)に略奪された」などと主張していることについて、韓国政府側は「具体的に立証できていない」と指摘した。保管中の仏像について「真の所有者に渡さなければならない」と表明。ただ観音寺に返還するとの考えは示さなかった。 問題になっているのは、長崎県指定有形文化財「観世音菩薩(ぼさつ)坐像(ざぞう)」。2012年に観音寺から盗まれ、韓国で窃盗団が摘発された際に、押収された。観音寺や日本政府は返還を求めていたが、浮石寺が所有権を主張し、保管している韓国政府に引き渡しを求めて提訴。7日は大田(テジョン)地裁で口頭弁論の準備手続きが行われた。 浮石寺側は今後、訴訟の中で略奪された経緯などについて立証していく考えを示した。(大田=東岡徹)