先日、都内某所でとあるオフ会的なものがあったと思ってほしい。たいへん楽しい会だったわけだが、その場で盛り上がった話題の1つが、最近話題の食材偽装問題だった。 その場にいた一同、「最近の大騒ぎはちょっといきすぎじゃないか」みたいな話で大筋合意だったのだが、それでわいわい話しているうちに、「アンニュイなブラックタイガーがこの状況を愚痴る」みたいなお話があったら面白い、みたいな流れになった。そこからどこがどうしてそうなったのか詳しくは覚えていないのだが、最終的には私が文章を書いて、それにその場にいた松尾たいこさんが絵をつけてくださるという話になっていた。 松尾たいこさんといえば、押しも押されぬ人気イラストレーターだ。お忙しいだろうし、まさかと思っていたが、ちょっとしたお話を書いてみたら、本当にイラストをつけてくださって、うひゃー、となっているのが今、というわけだ。 ご承諾もいただいたので、イラス
自民党の教育再生実行本部が大学入試にTOEFL義務付けを提言したと報じられたのは、しばらく前のことだった。これが夏の参院選の公約になるらしい。 「「大学入試にTOEFL義務付けを」 首相に自民提言」(朝日新聞2013年4月8日) 提言自体は公開されておらず、報道だけでは内容がよくわからないので、放置していた。しかし最近、提言をとりまとめた政治家のインタビューが別の記事になっていて、これがあまりに笑止な内容だったので、さすがにひとこと書きたくなった。 「(争論)大学入試にTOEFL 遠藤利明さん・江利川春雄さん」(朝日新聞2013年5月1日) 私も副大臣や政務次官として国際会議に出ました。公式な会合は通訳がつきますが、大事なのはその前のあいさつから始まって、夜のパーティーとか、みんなでわいわいやっている場での会話です。それが次の会合に生きてくる。でも悔しいことに英語で話せない。中高で6年もや
水曜あたりからあちこちで騒ぎが起きているこの件。 「お笑い芸人も“やらせ広告塔” 業界騒然、タレントら対応大わらわ」(産経新聞2012年12月14日) ペニーオークション詐欺でサイト運営者の男らが京都、大阪両府警に逮捕された事件を受け、別のオークションサイトで格安で商品を落札したと自身のブログで紹介していた人気お笑いコンビの男性芸人(35)が「実際には落札していなかった。5万円の報酬をもらって書き込んだ」と所属事務所に認めていたことが13日、分かった。 水曜、木曜は授業とかゼミとかでばたばたしてたのでちらちらとネットを眺めているだけだったんだが、木曜午後になって読売新聞の記者の方から大学に電話がかかってきて、夜になって取材を受けた。「ステマの件で」、と。ブログの記事を見て私を知ったらしい。急に騒ぎが大きくなったのはもちろん、この詐欺サイトをブログなどで推奨する記事を書いていたのが芸能人たち
iPS細胞の世界初の臨床応用例だとして読売新聞等が報じた件(元記事は既に削除されているようだ)は、その後一転して誤報騒ぎとなった。件の人物は、今やスキャンダルの主としてマスメディアの注目を一身に集める存在となっている。 「iPS移植、5件「ウソ」…森口氏が記者会見」(読売新聞2012年10月12日) 京都大学山中教授がノーベル賞を受賞してなんだかおめでたい気分だったのに、一気に水をさされたような状況だが、あちこちのメディアの取り上げ方がどうも気になる。 マスメディアは、件の人物の記者会見に詰めかけて、発言の矛盾点やら虚偽やらを突き止めようと躍起になっているようにみえる。特にテレビは、ここぞと記者会見の模様を何度も何度も何度も何度も(しつこいが本当に何度も流していてうんざりするのだ)流していて、ああこういうのはよほどメディア的においしいネタなんだなあということがよくわかる。 「検証「iPS移
ブロガーの習性として新しいネタにとびつくというのがあるのだが、最近諸般の事情でなかなかそれができず、内心くやしい思いをしている。その中の1つがちょっと前に主にネット界隈ではやった「ノマド論」で、いろいろな人がいろいろなことを書いていた。書こうと思ってあんまり人のものを読まないでいたのだが、最近あまり見かけないところをみると、もう話題としてはひとしきり通り過ぎた感が漂ってるようだ。 なのでほんとにいまさらなのだが、書かないままなのもいやなのでごく簡単に書き付けておく。 ぱらぱらと見かけた議論の中には、組織に属さずフリーランスとして仕事をする、ぐらいの意味で使われる「ノマド」と、オフィス以外の場所で仕事をする「ノマドワーク」の区別がついていないものがけっこうあって、それはおかしいよねといつも思っていた。当然ながら両者は別物だ。組織に属していなくても自分のオフィスを持ってそこで仕事をしている人は
佐々木さんというと、私はよく「月刊佐々木俊尚」と呼んでいるがとにかく多作のイメージがあって、どんどん新著が出てくる印象なのだが、このところ新作の話をあまり聞かないように思っていた(実際どうだったか確かめてないけど)。これを書いていたのではないかと思う。分量もさることながら、それだけではない力作といえる。内容も、ふだんよく取り上げているITやメディア周りの話よりやや広い。ある意味これは佐々木流の日本人論ないし日本社会論であるともいえよう。 題名も何やら想像をかきたてるが、とりあえず、帯にも出ていた「マイノリティ憑依」ということばがツボに入った。本書のキーワードである。帯の表現を借りてひとことでいえば、「当事者性を失い、弱者や被害者の気持ちを勝手に代弁する言論」ということになろうか。日本人の言論がこの「マイノリティ憑依」に陥ってしまっている、という指摘だ。 とはいえ、読み始めても、しばらくの間
最初に目にしたときから、何か違和感があった。 福島第一原発の事故に関する民間事故調(正式には「東京電力福島第一原発事故に関する独立検証委員会」というらしい)の報告書が公表されたとするニュースについての話だ。たとえばこれ。 「菅首相が介入、原発事故の混乱拡大…民間事故調」(読売新聞2012年2月28日) 東京電力福島第一原発事故に関する独立検証委員会(民間事故調、委員長=北沢宏一・前科学技術振興機構理事長)は27日、菅前首相ら政府首脳による現場への介入が、無用の混乱と危険の拡大を招いた可能性があるとする報告書を公表した。 報告書によると、同原発が津波で電源を喪失したとの連絡を受けた官邸は昨年3月11日夜、まず電源車四十数台を手配したが、菅前首相は到着状況などを自ら管理し、秘書官が「警察にやらせますから」と述べても、取り合わなかった。 バッテリーが必要と判明した際も、自ら携帯電話で担当者に連絡
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現在東京都議会に再提出され、審議中の「東京都青少年の健全な育成に関する条例」改正案について、あちこちで反発の声が上がってる。賛成派の声はネットでは比較的静かなようにみえるのは、わざと騒がないようにしてるのかいなと思わなくもないが、まあそれはおいといて。 私の考えは、基本的に前回の案に対するものと基本的には変わってないのだが、改めて、「ひとことだけ」というほど短くはないが、できるだけ手短に書いておく。対象としてるのは例の「非実在犯罪」規制と呼ばれてる、マンガやアニメなんかのいわゆる「二次元」に関する規制の方についての方。ちなみに、いわゆる児童ポルノ、つまり実在の青少年の映像等を使ったものについての規制には基本的に賛成。あと、ネット関係はMIAUが意見書を出してて、これに賛成、とひとことだけ。 では順番に。時間がないのでざっくりと。 結論からいうと、この条例案には反対である。 反対の理由は、簡
いまお世話になっているGLOCOMでこんなことをやろうとしているのでこちらでも告知。GLOCOMからの正式な告知はこちら。一応ネット中継も予定しているが、会場においでいただける方はぜひ。「続き」以下に詳細と、申し込みフォームへのリンクがある。 講演会シリーズ「ネットの力、みんなのチカラ」プロジェクト 於:国際大学GLOCOM 講師とスケジュール 10/26(火) 18:00~19:30 山口浩(駒澤大学) 「趣旨説明・イントロダクション~プロとアマ、営利と非営利の新しい関係」 10/27(水) 18:00~19:30 楠正憲(マイクロソフト) 「ソーシャルメディア時代の政策渉外活動」 10/28(木) 18:00~19:30 藤代裕之(ジャーナリスト) 「ソーシャルジャーナリズムの可能性。私たちに何ができるのか」 11/04(木) 18:00~19:30 津田大介(ジャーナリスト・MIAU
大阪地検の押収資料改竄事件で特捜検事が逮捕された件。マスメディアの皆さんが快調に捜査の進捗状況を報道しておられる。いまや捜査の焦点は大阪地検の前特捜部長に移ってきているらしい。いくつか拾ってみる。 「特捜部長「自分が説明する」 隠ぺい積極主導か」(47news2010/09/30) 「前部長「改ざんの可能性伝えた」…検事正は否定」(読売新聞2010年9月30日) 「前特捜部長「処理、過失で」と発言 捜査資料改ざん」(日本経済新聞2010/09/30) 「「故意の改ざんを報告」=前田容疑者、特捜部長らに-検事証拠隠滅事件」(時事通信2010/09/30) やっぱり上司も知っていたんだ!逮捕すべきだ!みたいな路線だろうか。しかしまあよくいかにもな情報がどんどん出てくるものだ。なんだかとても既視感がある。何かと考えたら、この件の「発端」ともいうべき、厚生労働省の郵便不正事件。検察が暴走したとされ
2010年9月17日付の朝日新聞の「耕論」欄が「ネットと民意」という特集をしていて、人事コンサルタントの城繁幸さん、東京大学特任准教授の菅原琢さん、評論家の宇野常寛さんが意見を書かれていた。ちょうどSYNODOS Journalに書いた「世論調査をめぐる3つの「幻想」」という文章が公開された直後だったのだが、そういえばネット世論そのものについては書かなかったなあと思ったので、こちらで少しだけ書いてみる。最近は「ネット世論だめじゃん」みたいな議論が多いので、あえてというか何というか、「でもやっぱり注目はしとくべきなんじゃないか」という方向で。例によって「3つある原則」にしたがい3点で。 ちなみに、以前にネット世論について何書いたっけと思って自分でぐぐったらこんなことを書いてるのよろしければご参照。一応、おおまかにはこれらと矛盾してないつもりだが、矛盾してたらご容赦。 「ボットはネット世論の夢
どういう経緯か詳しくは知らないが、ここしばらく、ホメオパシーへの批判があちこちで盛り上がっている。日本学術会議やら日本医師会やらがこぞって「根拠がない」との見解を表明している。SYNODOS BLOGの菊池誠さんの記事を見ると、きっかけになったのは、昨年10月に助産師が行ったホメオパシーに関連して乳児が死亡した件あたりだろうか。 こういう風潮の中でこういうことを書くのは若干勇気がいるが、ここではあえて、ホメオパシーとの「共生」を考えるべきではないか、と主張したい。 最初にことわっておくが、私は基本的に、疑似科学の類を信じていない。あまりひとくくりにするのもどうかと思うのでホメオパシーに話を限ると、もしホメオパシーが、上記リンク先の菊池さんの記事に解説されているようなものであるとするならば、科学的な根拠はないと判断せざるを得ない。こう説明されている。 よく用いられるレメディは100倍希釈を3
この記事の後半にこんなくだりがある。 ネットを駆使し、若者票の取り込みをねらう議員ら。しかし、ネットの気分はそう簡単に動かせないようだ。ネット文化に詳しい武蔵大学社会学部助教、稲増一憲(29)は言う。 「ネットの双方向性を生かし、候補と有権者が政策論議を交わすなどの使い方が理想だが、残念ながら、現在はそこまでネット文化は熟成していない」 普天間問題でもネットでは政策論議より、鳩山の「ルーピー」ぶりに関心が集まった。ほかにも感情論やからかい半分の書き込みが横行し、思わぬ結論に至る例は少なくない。 国家戦略担当相の荒井聡(64)は政治団体でキャミソールの領収書が見つかり、ネット上で「キャミソール荒井」と呼ばれるように。社民党党首の福島瑞穂(54)は民主、国民新との連立時、合意文書の署名が丸文字だったため「みずほたん、かわいすぎ」とネットで騒がれた。 本来の政治とはかけ離れたからかいや嘲(ちよう
言論NPOという団体がある。正式には「認定特定非営利活動法人言論NPO」というらしいのだが、それはともかく、その言論NPOから冊子をいただいた。「言論ブログ・ブックレット 鳩山政権の一〇〇日評価」工藤泰志編、とある。本当はもうちょっと前にいただいていたのだが、あれやこれやの間に時間が経過してしまった。もはや賞味期限切れなのかもしれないが、ブログで論評してくれるなら送るという条件でこちらから頼んで送ってもらったものでもあるわけで、必ずしも義務ということではないのかもしれないがやはりやっときたい。まあ100日が180日になったからといって話が大きく変わるというもんでもなさそうだし、ご勘弁を。 というわけで、ひとくさり。しつこいようだが世間的には無駄に長い文章が芸風とされているらしい(本人はそうは思ってないが)ので、あらかじめ念のため。 このNPOがどういう団体なのかいまひとつよく知らないのだが
コラムは、首相が最近ブログ「鳩Cafe」とtwitter(@hatoyamayukio)を始めたことについて、「退職後に喫茶店をやる人」にたとえている。そういう気ままな暮らしに対する願望を持つ人は多いだろうと。とはいえ首相はまだ退職してないし、だいいちきわめて責任重大な激職だ。そんなひまあるのか、という批判をしたいようだ。昨日、自民党の加藤紘一議員が首相にtwitterを使うなといったとかいうニュースが流れていたが、それも引用しながら曰く: ネットで発信し、国民との距離を縮めたいそうだ。だが、マスターの世間話と違って、どんな小声だろうが首相の発信は公の色を帯びる。これで本心は語れまいs。無愛想な店主のごとく、面白くもない言葉が並ぶだけだろう。 側近と相談して発するつぶやきに、政治の近さを感じる国民がどれほどいようか。 で、「気楽なカフェは「退職後」がふさわしい」と結んでいる。そう遠い先でも
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