去年の2月上旬頃だったが、ある証券会社の営業マンの訪問を受けた。もちろん金融商品の売り込みに来た訳だ。ちょうどそのころ、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が3700人の乗客を乗せたまま、横浜港の外に釘付けになっていた。わたしは、武漢で発生したウィルス危機は中国の外にも広がって、国際的に経済の問題をひき起こすのではないかと、懸念を口にした。すると、くだんの営業マン氏は笑って、「NYダウは史上最高値ですよ」と答えた。 わたしは結局、彼のすすめる商品には手を出さなかった。2月下旬を過ぎ、3月に入ると欧州に都市封鎖(ロックダウン)が広がり、経済的影響は明らかだった。株価は下がり、いろいろなところに損失が出た。航空分野を筆頭に、飲食・サービス業など多くの分野の企業業績が低迷した。やれやれ、言わんこっちゃないと、わたしは内心考えた。