スポーツや演奏で上達するときに何が起きているか? この疑問に、身体知の認知科学から迫る。 なにか上手くなりたい目標がある人にとって気づきがあるかも……と思ったが、本気で練習しているなら誰だって知ってる「身体知」の話だ。「体で覚える」とか「腑に落ちる」というやつで、"Don't think! Feeeel!"といえばピンとくるかも。 お手本をコピーするだけでなく、その時の周囲の状況や身体の各部位に意識的になり、ことばと身体の両方で「分かる」ところに持っていくことだ。本書が面白いのは、研究者自らが実験台となり、バッティングの練習に取り入れて実際に上達しているところ。様々な身体知研究の紹介をする一方で、自らの経験に基づいた実感が溢れ出ている。 本書の姿勢はこうだ。これまでのスポーツ科学では、運動力学研究により、身体各部位の動作を要素還元的に分析し、「モノ」としての身体のあり様を明らかにしてきた。
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