例年にない晴天に恵まれ、大盛況のうちに幕を閉じた今年の『フジロック』。90年代のUKロックを代表するレジェンドが顔を揃えたことが一番の話題ではあったが、近年の『フジロック』は欧米のロック/ポップのみならず、様々な国や文化の、それも現在進行形の音楽が楽しめる場としての存在意義も非常に大きくなっている。 アイヌの伝統的なウポポ(歌)、特にウコウクと呼ばれる輪唱を基本としながら、一音楽ファンのスタンスでそれを鮮やかに更新していく女性4人組=MAREWREW(アイヌ語で「蝶」の意味)は、まさに上記の文脈に相応しいグループである。初のフルアルバム『もっといて、ひっそりね。』は、プロデューサーであるOKI(アイヌ音楽の魅力を国内外に知らしめてきたミュージシャン/プロデューサー)の手も借りながら、クラブミュージックの要素などを積極的に取り入れ、まったく新しいアイヌ音楽を打ち出した意欲作。そしてそれは、過