一流の哲学者が本気で遊ぶと、ここまで面白いのか! 科学と哲学の二刀流で、ホラーから人間を探索する試み。最初は哲学的アプローチだったのが、次第に科学からの知見を取り込み、最終的に両者が手を携えて、「人はここまで分かっている」ことと、「ここからもっと(科学も哲学も)人間の深いところまで行ける」ことを指し示す。その知的探索がめちゃくちゃ面白い。 ざっくばらんな語り口で、「なぜホラーが怖いのか」から始まって、怖いのにホラーにハマるメカニズムを解析し、最終的にその恐怖を"怖さ"たらしめている深いところまで降りてゆく。そこには、意識は科学で説明可能か? というとんでもなくハードな問題が待ち構えており、ラストは哲学的ゾンビとの対決になる。結末は、映画に出てくるリビング・デッドのようにはいかないが、ある意味『ゾンゲリア』のラストのようで皮肉が利いている(著者はホラー好きなくせに怖がり&痛がりなので、ダブル