タグ

ブックマーク / www.aozora.gr.jp (10)

  • 伊丹万作 戦争責任者の問題

    最近、自由映画人連盟の人たちが映画界の戦争責任者を指摘し、その追放を主張しており、主唱者の中には私の名前もまじつているということを聞いた。それがいつどのような形で発表されたのか、くわしいことはまだ聞いていないが、それを見た人たちが私のところに来て、あれはほんとうに君の意見かときくようになつた。 そこでこの機会に、この問題に対する私のほんとうの意見を述べて立場を明らかにしておきたいと思うのであるが、実のところ、私にとつて、近ごろこの問題ほどわかりにくい問題はない。考えれば考えるほどわからなくなる。そこで、わからないというのはどうわからないのか、それを述べて意見のかわりにしたいと思う。 さて、多くの人が、今度の戦争でだまされていたという。みながみな口を揃えてだまされていたという。私の知つている範囲ではおれがだましたのだといつた人間はまだ一人もいない。ここらあたりから、もうぼつぼつわからなくなつ

    zenibuta
    zenibuta 2020/04/03
  • 坂口安吾 もう軍備はいらない

    原子バクダンの被害写真が流行しているので、私も買った。ひどいと思った。 しかし、戦争なら、どんな武器を用いたって仕様がないじゃないか、なぜヒロシマやナガサキだけがいけないのだ。いけないのは、原子バクダンじゃなくて、戦争なんだ。 東京だってヒドかったね。ショーバイ柄もあったが、空襲のたび、まだ燃えている焼跡を歩きまわるのがあのころの私の日課のようなものであった。公園の大きな空壕の中や、劇場や地下室の中で、何千という人たちが一かたまり折り重なって私の目の前でまだいぶっていたね。 サイパンだのオキナワだのイオー島などで、まるで島の害虫をボクメツするようにして人間が一かたまりに吹きとばされても、それが戦争なんだ。 私もあのころは生きて再び平和の日をむかえる希望の半分を失っていた。日という国と一しょにオレも亡びることになるだろうとバクゼンと思いふけりながら、終戦ちかいころの焼野原にかこまれた乞

    zenibuta
    zenibuta 2015/09/15
  • 大阪圭吉 とむらい機関車

    zenibuta
    zenibuta 2015/09/11
  • わが町

    織田作之助 第一章 明治 1 マニラをバギオに結ぶベンゲット道路のうち、ダグバン・バギオ山頂間八十キロの開鑿(さく)は、工事監督のケノン少佐が開通式と同時に将軍になったというくらいの難工事であった。 人夫たちはベンゲット山腹五千フィートの絶壁をジグザグによじ登りながら作業しなければならず、スコールが来ると忽ち山崩れや地滑りが起って、谷底の岩の上へ家守のようにたたき潰された。風土病の危険はもちろんである。 起工後足掛け三年目の明治三十五年の七月に、七十万ドルの予算をすっかり使い果してなお工事の見込みが立たぬいいわけめいて、 「……山腹は頗る傾斜が急で、おまけに巨巌はわだかまり、大樹が茂って、時には数百メートルも下って工事の基礎地点を発見しなければならない。しかも、そうした場所にひとたび鶴嘴を入れるや、必らず上部に地滑りが起り、しだいに亀裂を生じて、ついにはこれが数千メートルにも及ぶ始末である

    zenibuta
    zenibuta 2013/08/31
  • 作家別作品リスト : 夢野 久作

    名・杉山泰道。右翼の大物・杉山茂丸の子として生まれ、はじめ農園経営に従事。僧侶、新聞記者などを経て、作家に。死の前年に書かれた大作『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇味と幻想性の色濃い作風で日文学にユニークな地歩を占める。 「夢野久作」 公開中の作品 青水仙、赤水仙 (新字新仮名、作品ID:937)     →海若 藍平(著者) 悪魔祈祷書 (新字新仮名、作品ID:2382) 虻のおれい (新字新仮名、作品ID:46716)     →香倶土 三鳥(著者) 雨ふり坊主 (新字新仮名、作品ID:914)     →香倶土 三鳥(著者) あやかしの鼓 (新字新仮名、作品ID:531) 縊死体 (新字新仮名、作品ID:2377) 医者と病人 (新字新仮名、作品ID:46717)     →香倶土 三鳥(著者) いなか、の、じけん (新字新仮名、作品ID:919) 犬と人形 (新字新仮名、作品ID

    zenibuta
    zenibuta 2013/08/19
  • 夢野久作 恐ろしい東京

    久し振りに上京するとマゴツク事や、吃驚させられる事ばかりで、だんだん恐ろしくなって来る。田舎にいると、これでも相当の東京通であるが、場に乗り出すと豈計らんやで、皆から笑い草にされる事が多い。 横浜から出る電車は東京行ばかりと思って乗り込んで、澄まして新聞を読んでいるうちにフト気が付くと大森林の傍を通っているのでビックリした。モウ東京に着く頃だがハテ、何処の公園の中を通っているのか知らんと思って窓の外を覗いてみると単線になっているのでイヨイヨ狼狽した。車掌に聞いてみると八王子へ行くのだという。冗談じゃない。這々(ほうほう)の体で神奈川迄送り戻された。 銀座尾張町から上野の展覧会へ行く積りで、生まれて初めての地下鉄へ降りてみる。見渡す限り百貨店みたいで、何処で切符を売っているのかわからないし、プラットフォームらしいものもないので、間違ったのかなと思って又石段を上って見ると、丸キリ知らない繁華

    zenibuta
    zenibuta 2013/08/19
  • 倉田百三 人生における離合について

    zenibuta
    zenibuta 2011/03/10
  • 中井正一 絵画の不安

    zenibuta
    zenibuta 2011/03/10
  • 中井正一 映画と季感

    zenibuta
    zenibuta 2011/03/10
  • 芥川龍之介 恋愛と夫婦愛とを混同しては不可ぬ

    媒酌結婚で結構です 媒酌結婚と自由結婚との得失といふことは、結局、この二種の結婚様式が結婚後の生活の上に、如何なる幸福を導き出し、如何なる不幸を齎(もたら)すかといふことのやうに解せられる。併(しか)し結婚生活の幸福とは果して如何なることを意味するであらうか、それも考へなければならぬ。太く短く楽しむのか、細く長く楽しむのか、それとも又た夫婦間に衝突のある生活なのか、俄(には)かに決定することの出来ない問題である。又た恋愛といふもの、昔の人達の考へたやうな清浄高潔な恋愛といふものが、世の中にあるだらうか否かといふことについても、私は疑ひを懐いてゐるものである。 実際に於て、さういふ生活があり得るか否かは別問題として、一般の人たちが考へるやうに、太く長く且(か)つ平和に楽しめる夫婦生活といふものを、理想とし幸福として考へるならば、聡明な男女には自由結婚が適して居り、聡明でない男女には媒酌結婚

  • 1