先日、ホームセンターで三百九十八円で売ってたので、試しにわが家にも“配備”してみた。そう、あの「電撃殺虫ラケット」である。たかがハエ・蚊の類を一千数百ボルトの電圧で退治しようという大げさ加減がすばらしく、“購入”などという言葉は似つかわしくない。“配備”だ、配備。むかしは日本橋くらいでしか見かけなかったものだが、最近はホームセンターで大量に売っているのだな。 ちゃんと使えるのかな、早く試してみたいものだと手ぐすね引いて待っていたら、昨夜、パソコンのディスプレイに小さな羽虫がぶち当たってきたではないか。来たきた、最初の獲物が来た、おれの家に入ってきたのがこいつの運の尽きである。 おれはラケットのメインスイッチを入れ、通電スイッチに指をかけて下段に構えた。安全のために、スイッチは二段階になっている。羽虫はふらふら飛び回っている。 いまだ! おれは通電スイッチを押しながら、軽くラケットを振った。