(舛添 要一:国際政治学者) 12月10日の新型コロナウイルス感染者は東京都で602人、全国で2972人と、いずれも過去最多を記録した。旭川市では医療崩壊状況になり、自衛隊の看護官が派遣された。専門家たちが「勝負の3週間」と警告してから2週間が経過するが、感染が収束する兆しは見えていない。 それに加えて、西日本では鳥インフルエンザが蔓延し、大量の鶏を殺処分する羽目になっている。渡り鳥のシーズンで、これからも被害が拡大する危険性がある。自衛隊は、災害派遣という形で、新型コロナウイルス対策のみならず、鳥インフル処理にも駆り出されている。何もかも、自衛隊頼みというのでは、政府の無能さが批判される。 養鶏業者からの資金提供、「桜を見る会」前夜祭費用の記載漏れ しかも、養鶏業絡みで、鶏卵業界大手「アキタフーズ」との間で、政治スキャンダルが浮上してきている。河井克行・案里議員の公職選挙法違反事件の捜査
政策決定者は完成症対策と経済活動の「両立」を唱えるが、その政策決定の裏に根拠があるかといえば明示的なものは何もない(写真:ZUMA Press/アフロ) 少子高齢化と人口減少が進むわが国の社会の質を維持し、さらに発展させるためには、データの活用による効率的な社会運営が不可欠だ。一方で、データ活用のリスクにも対応した制度基盤の構築も早急に求められている。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、これまでの経済、社会のあり方は大きく変わろうとしている。 その中で、日本が抱える課題をどのように解決していくべきか。データを活用した政策形成の手法を研究するNFI(Next Generation Fundamental Policy Research Institute、次世代基盤政策研究所)の専門家がこの国のあるべき未来図を論じる。 今回は、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーを務め
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡り、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査をすべきか、せざるべきか。1年前にはほとんど馴染みなかったはずの、バイオテクノロジー分野の検査であるPCRに大きな関心が寄せられている。専門家の間でも、その実施をめぐって見解が分かれており、経済の停滞への懸念が高まる中でもあり、議論百出の状況になっている。 こうした中、都内港区の東京慈恵会医科大学が集中的にPCRを実施できるセンターを設置した。そのコストパフォーマンス、スピードが圧倒的だ。同大学が設置した自前の「Team COVID-19 PCRセンター」では、1検体当たり実費700~800円で検査を行うことができる。検査依頼から完了までわずか半日だ。新型コロナウイルス感染症を対象とした保険適用の検査は最低1万3500円。日本全国で、PCRの所要日数が3~5日などと報告される中で、圧倒的なコストとスピード
都内で街頭演説する山本太郎氏(2013年9月30日撮影)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News〕 常識は、決して正解ではない。大多数の人間がそう思っているからといって、正しいわけではない。不遜な言い方をするが、このことをきちんと理解している人が世の中にどれほどいるのかと感じてしまう瞬間は多々ある。特に、テレビや新聞での言説、あるいはインターネット上の意見などを特に疑いもなく信じている人を見ると、そう感じることが多い。 僕たちは、人々が特攻隊は正義だと信じていた時代を知っている。僕たちは、同じ人間を奴隷として、まるでモノのように扱うことが当然だと信じられていた時代を知っている。僕たちは、女性に選挙権が与えられないことが当たり前だと思われていた時代を知っている。 常識は、いつだって非常識に変わり得る。 ただ「常識だから」というだけの理由でそれに従って生きることは、ただ
(英エコノミスト誌 2013年10月5日号) 自由の国が、統治不能に陥りかけているように見える。もうたくさんだ。 9月30日深夜、米国議会では、目前に迫った連邦政府機関の閉鎖について、誰もがほかの誰かを責めていた。どうなるのかと事態を見守っていた世界にとっては、非難の応酬は的外れだった。崖っぷちで揉めている時にまず問うべきなのは、「誰が正しいのか?」ではなく、「一体こんな崖っぷちで何をしているのか?」であるはずだ。 政府機関の閉鎖自体は、困ったことではあるが、耐えられないものではない。治安関連の業務は継続されるし、年金も通常通り支払われる。国際宇宙ステーションの宇宙飛行士が呼吸できなくなることもない。 280万人の連邦職員のうち、必要不可欠ではない業務についているおよそ80万人が自宅待機となり、さらに130万人が無給での勤務を求められている。暫定予算が成立し、資金の流れが回復するまでの間、
9月5日午後(日本時間同日夜)、ロシア・サンクトペテルブルクでの20カ国・地域(G20)首脳会議に先立ち、安倍晋三首相が中国の習近平国家主席と握手をした。両首脳があいさつレベルとはいえ、直接会話したのは初めてだ。 日本側は「短時間だが、両首脳の就任後、直接言葉を交わした意義は大きい」とし、また中国側も「中日関係が直面する困難な状況は中国も望まない」と、決着に向けて動き出すことへの期待をにじませた。 中国のメディアも「(中国の)大国の余裕を見せた」という評価を加えながらも、「大変礼儀のあるもので、かつリラックスしたものだった」と、前向きな報道を繰り返した。 他方、全世界の華人向けに放送する鳳凰衛星テレビが行ったアンケート調査によれば、「この握手が今後の日中関係に影響をもたらすか」という問いに対して、「ない」との回答が87%にも上ったという。両首脳の握手ごときでは関係の修復などあり得ないという
しかも、風は夜中も吹くから、太陽光発電と違って極めて効率が良い。北海のテストウインドパーク 「alpha ventus」では、2012年、発電効率96.5%を記録した。他のどんな再生可能エネルギーも、これほど安定した電力供給はできないそうだ。 そのため、福島第一原子力発電所の事故のあとに脱原発を決めたドイツでは、オフショアウインドパークに大いなる期待がかかった。これこそが、将来訪れるはずの原発フリーの世界で、特別明るく輝く希望の星となるはずであった。 期待を集める巨大風力発電プロジェクトの致命的欠陥 さて、今回完成したリフガートウインドパークは、30基の風車からなり、108メガワットの性能を持つ。風車の羽1枚の長さは60メートル。つまり、風車が回った軌跡の円の直径は120メートルにもなる。水面上に出ている支柱の高さは90メートルなので、水面から羽の一番てっぺんまでの距離は、約150メートル
原発難民を再訪する報告の3人目をお届けする。2011年に取材した6人の原発難民のうち、避難先と名前を伏せた人が2人いる。その1人が群馬県P市に避難した女性、木下さん(39歳。仮名)である。原発事故直後、クルマを運転して当てのないまま福島県南相馬市を脱出し、夫の兄がいるP市にたどり着いた。それまで、学校の同級生や親戚に囲まれ、引っ越しをしたことすらない人生を送ってきたのに、いきなり知り合いのいない見知らぬ街で、心の準備もなく生活を始めることになった。小学生の娘は学校で「放射能がうつる」とからかわれた。私が木下さんを訪ねたのは、その群馬県の街だった。南相馬市からは直通の交通機関すらなかった。 P市は原発被災者の受け入れにまったく不慣れだった。右往左往の日々で、木下さんは疲労と緊張で追いつめられていた。その苦境を書くとき、私は感情的な反発が来ると思って名前や居場所を仮名にした。予想通り、ツイッタ
1 欠落する脅威認識が日本を危うくする 日本は、中国とのよりが昔のように戻るだろうという幻想を、もはや捨て去ったほうがよい。中国は本気だ。尖閣も必ず取りに来るし、南西諸島も支配下に置くよう必ず行動する。すでに沖縄では下工作が始まっていよう。 2020年までにアジアでの軍事的優位を確立して、2050年頃には米国に対する覇権を確立する「中国の夢」は着々と現実になりつつある。 少なくとも中国流のやり方で間違いなく着実に軍事の実力を向上させている。中国の力を過小評価したり、まだ軍事力は不十分だといっている人たちは非対称戦力(対称戦力の増強も含む)の意味とやり方が分かっていない。 日本は尖閣に関心のほとんどが釘付けだが、日米、日韓の離反と、歴史問題のように中国は戦後の戦勝国の感情を持ち出し、日本の孤立化を図り、大層な宣伝戦とともに有利な情勢を作り出そうとしている。起死回生の一発がない限り中国の時間の
これは日本の話ではない。これまで原発を前向きに捉えていた米国の話だ。採算が悪化し始めたことで、原子力産業は廃れていく運命にあるとジョージ・W・ブッシュ政権で官僚をしていた知人は綴っていた。 だが数年前までは違った。バラク・オバマ大統領は2008年の大統領選で、選挙用テレビCMで次のように述べていた。 「今後10年で1500億ドル(約15兆円)をかけて、全米に十分に行き渡るエネルギーを確保していきます。その1つが原子力で、核エネルギーをより安全に利用していくつもりです」 この言葉からは、原発の旗振り役と思えるほどの意気込みを感じる。こうした原子力政策はブッシュ政権からの継続でもあった。 オバマ氏は大統領になった後も考え方を変えていない。2010年1月の一般教書演説でこう力説している。 「グリーンエネルギーの生産性と効率を向上させて雇用も増やします。その一環として、安全でクリーンな新世代の原子
週末版で「地熱発電が日本の総発電量の50%以上を賄える」可能性がある技術について触れた。これは特許が出願されたばかりの新しい技術であり、実現にはしばらく時間がかかる。 しかし、日本が本気でエネルギーの海外依存度を下げる(原発も燃料は100%海外依存)つもりならば、技術開発が加速して実現までの期間もコストも大幅に下がる可能性がある。 なぜなら、日本は世界で最も地熱発電に適した地域の1つであるにもかかわらず、ある時を境にして地熱発電への熱を一気に冷やし世界一の技術を放置し続けてきたからだ。その結果、世界のトップを走っていた技術のいくつかで海外勢に追い越されてしまった。 しかし、米国のシェールガス革命によって新しい掘削技術などが次々と開発されている。そうした環境変化の中でこそ日本の高い技術力は生きるわけで、あとは本気で取り組むかどうかである。 2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故をき
日本にあって、ドイツにない物はたくさんある。きめ細かいサービス、時間に正確な電車、24時間営業のコンビニ、そして、タレント議員etc。 私の考えでは、よいサービスと、正確に走る電車は◎。コンビニは便利だけれど、24時間営業でなくてもいいので△。しかし、タレント議員は×の3乗だ。 先日、ぼんやりとネットのニュースを見ていたら、「アントニオ猪木氏が参院選に出馬」という見出しが飛び込んできてビックリ。 自分の税金と運命を根性だけの政治家に託すのか 読んでみると、それを石原慎太郎都知事が心強いことだと大歓迎しているという。なんだか眩暈で椅子から落ちそうになった。最近、日本はまだまだ捨てたものじゃないと思い始めていたのに、もう、何が何だか訳が分からない。 まず考えたのは、日本の有権者も、石原都知事と同じように、アントニオ猪木氏が日本の国政に携わるのを頼もしいことだと歓迎しているのだろうかということだ
(2013年5月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) アベノミクス効果もあり、日本は世界の注目の的になっている〔AFPBB News〕 ニュースの見出しは、日本が戻ってきたと叫んでいる。安倍晋三首相は、10年以上も舞台脇で控えていた日本を舞台の中央へと押し戻した。 5月第4週の混乱を別にすると、株式市場は高騰に沸いてきた。消費者はお金を使っており、経済成長は上向いているように見える。海外では、日本が注目の的になっている。 この流れの反転について言うべきことは3つある。最初の2つは主に前向きなこと、3つ目は著しくネガティブなことだ。 安倍氏が来月の主要8カ国(G8)首脳会議に姿を現す時、他国の首脳はまず間違いなく、同氏のことを知ろうとするだろう。安倍氏の前任に当たる近年の日本の首相については、同じことが言えなかった。 国際舞台に戻ってきた日本 首相官邸の出入り口は、高速の回転ドアだった。
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