ブラックホールには、太陽の30倍程度以上の重さの星が超新星爆発を起こしたあとに残される恒星質量ブラックホールや銀河の中心にある巨大ブラックホールなどがあるが、ブラックホールの性質は、質量、スピン、電荷という3つの物理量だけで完全に決まる。 ブラックホールの質量は、その周りにある星やガスの運動から測定されており、例えば銀河系の中心には「いて座A*」(あるいはSgr A*)という強い電波源があるが、そこには太陽の400万倍もの質量を持つ巨大ブラックホールがあると考えられている。しかしこの巨大ブラックホールがどうして生まれたのかは謎となっていた。 また、ブラックホールのスピンは周囲の時空に影響を与えるが、その効果が顕著に現れるのはブラックホールのごく近傍のみであり、現在の観測装置ではブラックホールの見かけの大きさが小さすぎてスピンの有無も時空構造から区別しにくく、結果としてブラックホールの近くか