世の中不況まっしぐらということで、正社員の既得権益批判や、雇用の流動化の必要性が日夜繰り返し議論されているようだが、それについてちょっと考えたことをメモ。 労働者が、企業における仕事に心血を注ぎ、ときに安月給で馬車馬のように働くのはなぜか。企業による支配や管理を受け入れるのはなぜだろうか。 それは、労働者にとって企業が安心・安全を与えてくれる存在だからだろう。 企業が労働者に与える安心や安全のかたちはさまざまで、その最たるものが当然サラリーということになろうが、将来にわたった雇用の保証というものが少なからずあることは間違いない。 特に日本型企業は、共同体的色合いが強い。労働者は「社員」としてコーポレートアイデンティティの下に集い、経済活動を超えて、政治的、文化的にもしばしば団結する。専門的な職能を求められるのではなく、ジョブローテーションという形態によって、総合的な経験と企業風土への同化を