昨日の朝日新聞に、笠原十九司教授の『「百人斬り競争」と南京事件 史実の解明から歴史対話へ』(大月書店)の書評が掲載されていました。評者は赤澤史郎・立命館大学教授。「メディア・国民の喝采で英雄視」という見出しが示すように、民衆の戦争協力という観点を重視した書評です。 衝撃的なのは、その当時こうした斬殺を、将兵の家族を含む地域社会が称賛し、彼らを郷土の英雄扱いしていたことだ。(・・・) これについては次のような民衆擁護論があり得るかもしれません。いわく、報道では幾多の○○人斬りは戦闘の戦果として扱われていたのであり、「上海居留法人保護」のために出兵したと知らされていた国民が郷土部隊の戦果を素直に喜んだのは無理もないのではないか、と。しかしながら、「なぜ戦線が上海を越えて南京へと向かうのか?」という点についての批判意識の欠如は、上記の理由によっては擁護できません。また中国軍の過小評価がいかに一般