子育てに仕事にせわしなく追われながら日々繰り返される「日常」。ある小児科医がこれまでに出合った光景は、その何気ない「日常」がどれほど幸せなものなのか、立ち止まってかみ締め、向き合う機会を与えてくれます。書籍『君がここにいるということ』(草思社)に収録された5つの物語を、5回にわたってお届けしていきます。 第1回である今回の主人公は、生まれた直後の検査で確率約1万分の1という希な病気「フェニルケトン尿症」が分かったきょうだいとその母親。母親の成長を通して、親であることの意味について改めて考えさせられます。 約1万分の1の確率でかかる病気 小児科医をしている中での大きな喜びは、自分が関わった子どもたちが成長していく姿を見ることである。未熟児だった子が数年後再会したときに、ナマイキな口をきいていたりすると、命の尊さと不思議をしみじみ感じる。 毎年患者さんからもらう写真入りの年賀状も楽しみのひとつ