中国の公安部門のトップを務めていた周永康は、多くの罪を犯した。港湾都市の天津で今年5月に行われた非公開の裁判では、職権濫用や収賄に手を染め、さらには国家機密も漏洩したことで無期懲役の刑を言い渡された。 しかし、こうした罪を重ねていたにもかかわらず、揮発性のある硝酸アンモニウムやシアン化ナトリウム(青酸ソーダ)など毒性のある化学物質を市街地に何百トンも無造作にため込むということはしなかった。 8月12日に天津で起こったそのような化学物質の山の爆発は、少なくとも114人の命を奪い、習近平国家主席の腐敗撲滅キャンペーンの中核にある逆説をあらわにした。 筆者はこの悲劇が起こる数カ月前に、工場に出稼ぎにやって来て大けがを負った男性の父親であるチャン・グァンデ氏に面会し、この腐敗撲滅運動とそれによる周永康など「虎」と呼ばれる権力者たちの凋落をどう思うか尋ねていた。 習近平氏の就任後3年間の代表的な政策