text by Rihye Kim 金 利惠 坂本龍一さんと初めて会ったのは1984年の秋。 中上健次さん総監修のサムルノリ本格的日本デビュー、芝・増上寺コンサートの初日だった。公演終了後の打ち上げの席で、彼と親交のあった中上さんから紹介された。お二人の対談<音は神、そしていま甦る新たなる異神――韓国放浪芸〝サムルノリ〞のきらめき>が、週刊『朝日ジャーナル』に出たばかりだった。といっても、坂本龍一という人の音楽がどういうものなのか、当時の私はよく知らなかった。1981年から私は韓国で暮らしていたし、彼の音楽に関心があったわけでもなかった。テクノとかシンセサイザ-、コンピューターなどということばが彼の周囲にあって、口ごもるようにしゃべる目の前の彼は、私には未知の世界にいる人、という印象をもっていた。 それから16年経ち、2000年に彼の初めての韓国公演があったとき、ソウルで再会した。 事前
![坂本龍一さんのこと by 金 利惠(韓国伝統舞踊家)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/20bc64d5019742820d7d39d7f53b69ae3932aa4b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fjazztokyo.org%2Fwp-content%2Fuploads%2F2023%2F05%2FRIPryuichiSakamoto301.png)