分類から検索へ――「指紋」から始まる新たな知のシステム? 橋本 一径/早稲田大学文学学術院准教授 「検索」が学問のツールとして必要不可欠のものとなってから、どれくらいの年月が経つのだろう。図書館などのデータベースで目当ての著書や論文を検索するというのはもちろんのこと、全文がデジタル化されている論文や著作ならば、検索によって本文の中のキーワードやフレーズにもたどり着くことができる。「検索」によらない調査では到底見つけることのできなかったような記述に出会うことも増えたし、調査の方法自体が、これまでとは根本的に異なるものになろうとしているようにも思える。 学問だけに限られた話ではない。わからない言葉に出会えば、とりあえずブラウザの検索窓にその言葉を打ち込んでみるというのが、私を含めた多くの人の行動パターンとして、すっかり定着してしまっているようである。あるいはツイッターなどのSNSにおいては、友
