社会学者でありながら、『経済学という教養』、『不平等との闘い』(文春新書)などで経済学にも越境して仕事をしてきた著者が、政治の理論についての入門書をということで企画されたのがこの本。 当初は、中公新書の予定だったそうですが、新書としてはまとまりきらず、中公叢書からの発売となったようです。 『経済学という教養』は経済学の入門書としても機能する本ですが、この『政治の理論』は、「政治の理論」の入門書になるとしても(それも厳しいと思いますが…)、政治学の入門書にはならない本です。 20世紀を代表する政治哲学者、H・アレントの奇妙な「政治」と現代の「政治」の差異をフーコーを手がかりに分析することで、「政治」の概念を再検討し、「リベラルな共和主義」の可能性を探るという内容で、かなり癖のある内容になっています(というわけで、少なくとも入門書でもいいのでアレントについて知っておく必要がありますし、できれば