日銀の異次元金融緩和が「失敗」したとはいえない だが、日銀が現在、その役割を十分に果たしているか否かは別問題である 吉松崇 経済金融アナリスト 日銀は、11月1日の金融政策決定会合と同時に「経済・物価情勢の展望」(いわゆる「展望レポート」)を発表した。その中で、従来「2017年度中」としていた2%物価目標の達成時期が、「2018年度頃へ」と先送りされた。 これを受けて、「日銀の異次元金融緩和は失敗ではないか?」という趣旨の報道が多く見られる。とりわけ、「2018年度」ということになると、黒田日銀総裁の5年の任期中には2%物価目標は達成できないということになるので、この観点からの黒田総裁に対する批判も強いようだ。「異次元緩和をくりかえした揚げ句、任期中に当初の目標が達成できないのは無責任ではないか?」というわけだ。 たしかに、民間企業の経営者であれば、就任に際して掲げた目標が任期の半ばで達成