戦争中日本軍将校がオランダ人を強制連行し慰安婦にしたことで有名なスマラン事件(白馬事件)。2007年6月日本の右派国会議員らが掲載した広告「FACTS」でも触れられている。この事件はオランダ軍により裁かれたため証拠資料があり、日本軍による従軍慰安婦強制連行の明確な証拠である。ではその内容はいかなものか? この事件は吉見義明が早期にオランダ軍事法廷の裁判記録を発見し、その代表的な著書「従軍慰安婦」(岩波新書)でくわしく紹介している。また最近雑誌「週刊金曜日」(2007年6月22日号)でもオランダ軍事法廷の裁判記録が紹介されており、英語版がここ(http://www.kinyobi.co.jp/MiscPages/comfort_women)で読める。ここでは、その概要を示し、証拠である裁判資料も少しを紹介しよう。 (1)事件の概要 1944年日本軍占領中のインドネシア、ジャワ島で日本軍