勿凝学問 116 事実は価値判断とは独立に存在し得ない 「人間は自分がみたいという現実しかみない」というカエサルの言葉の科学方法論的意味合い 2007 年 11 月 12 日 慶應義塾大学 商学部 教授 権丈善一 社会科学上の問題設定と価値判断の関係について、多くの示唆を与えてく れるミュルダールの『経済学説と政治的要素』のなかで、彼の意を最もうま く表す一文を引くとすれば「答えが与えられる前に問が発せられなければな らない。問はいやしくもわれわれの関心の表現であり、それらは根底におい て価値判断である」であろう。 社会科学研究で最も難しい作業は、何ゆえに、その課題にとりかかってい るのかということを自問することであると思える。実際、多くの社会科学研 究では、問題設定をした瞬間に、ある程度結論が決まっているような側面が 多く、結論をどの方向にもっていくかということは、問題設定というスター
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