一人暮らしの公的年金受給者が死亡した後に振り込まれた生存中の年金は、国に返還しなければいけないのか――。この是非を問う裁判が15日、東京地裁で始まる。法律では「死亡した月まで支給」と定めているが、死亡後に後払いされる年金は同居人がなければ引き継げないとしているためだ。 昨年9月、千葉県船橋市で一人暮らしの女性が82歳で亡くなった。女性の8、9月分の国民年金と厚生年金計23万円は、翌10月に振り込まれた。ところが11月になると、身寄りがないこの女性の財産管理人を務めていた大島有紀子弁護士のもとに、社会保険庁(当時)から「死亡日より後に振り込まれた年金は全額返還してもらう」という趣旨の文書が届いた。根拠を尋ねると、1955年当時の厚生省課長名の文書などが送られてきた。 公的年金は後払いされる仕組み。通常は遺族から死亡届が出されると支給は止まるが、手続きが間に合わないと死亡後でも振り込まれる