ドイツ現代史を専門とする歴史社会学者の田野大輔氏が「ヒトラーを「左翼」「社会主義者」と見なしてはいけない理由」と言うエッセイを書いているのだが、国語と言うか論証の仕方が不適切なので指摘したい。つまり、右派ポピュリスト*1の「社会主義とは国家統制・計画経済であり、ナチスは国家統制・計画経済を実行したので、ナチスの政策は社会主義。」と言う三段論法*2を批判するのだから、大前提か小前提を否定しないといけないのだが、田野氏の議論ではそれが不明瞭だ。 ヒトラー率いるナチ党の究極の目標は社会主義の実現ではなく、社会主義者や共産主義者と対立していた事、ナチ党の国家統制・計画経済は労働者階級に大きな利益をもたらさなかったこと、民族・国家への献身と服従を強いるという権威主義であること、「テロルとプロパガンダを通じて国民全体を統制する体制という全体主義論のナチズム理解は多くの面から批判され」たことを説明するが
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