『コークスが燃えている』(櫻木みわ 著)集英社 東京に住み、もうすぐ40歳になるひの子。非正規で新聞社の校閲の仕事をしているが、いずれ新たな職を探さなくてはならない。新型コロナウイルスが広がるなか、年下の元恋人と再会し、再び付き合うことになる。そして、予想外の妊娠をする。 現代女性が対峙する社会の実相を描く『コークスが燃えている』を上梓した気鋭の作家、櫻木みわさん。自身の経験に材を取ったという。 「フィクションにするため設定は変えてはいますが、私自身が東京で非正規雇用者として働き、未婚で妊娠し、ひとり親になろうとしたけれど、流産をするという経験をしました。昔から“この世界のことがわからない”という感覚が、自分にはあります。世界のことも他者のことも謎であると。今回の経験でも、初めて知る事柄や感情、社会の仕組みの問題などと様々向き合うことになりました。そこで見たものや感じたことを、小説のなかで