職務発明の譲渡等の対価である「相当の対価」(特許法35条3項)が裁判所でどう算定されるかは、産業界、特にメーカー等の従業員によりなされる発明が事業において重要となる企業にとって大きな関心事だが、さまざまな論点があるためになかなか基準が明確にならない。職務発明対価訴訟において判決に至る考え方がぶれるために、例えばそういった会社がM&Aをする際に、将来従業員からどの程度の対価が請求される可能性があるか等の予測がつきにくい。その職務発明に再び注目が集まっている。その理由と今後の方向性について、西村あさひ法律事務所弁護士の岩瀬ひとみ氏に聞いた。 これまで最も脚光を浴びたのは、おそらく、2004年1月に東京地裁で判決が下された、青色LEDの発明者である中村修二氏が日亜化学工業に対して起こした職務発明対価訴訟、いわゆる“中村裁判”だと思います。それに前後して日立製作所や味の素などに対する職務発明対価