ある合成反応について、単離収率の悪さが問題になり、「実験の腕が悪い」という話になりました。私じゃないんですが。 え?ちょっと言葉の使い方が違うよ。全然違うよ。 化学は再現性を最重要視しますから、再現できないのはうまくないのです。 きちんとした実験手順を踏めば、チャンピオンデータまではいかずとも、そこそこのデータ再現が出来なければ意味がありません。 もし、全く同じ操作をすることができれば、全く同じ結果が得られる。これが科学として重要なのです。 しかし、たとえ同じような操作をして、同じ量の化合物を扱い、同じように反応/単離操作をしても、露骨に差が出ることがあります。 これは、きちんと要所要所でツボをついた操作をして、反応の特徴や物質の特性などを熟知して、的確な判断とそれに基づくハンドリングをしているか否かの差です。 反応をきっちり止めるタイミング、中間体や生成物の性質に応じた扱い方などなど。書