「御恩と奉公」という言葉があるように、中世の武士といえば、強い主従関係で結ばれているというイメージを抱きがちです。しかし史料を紐解いてみると、鎌倉幕府成立以前の主従の絆は、意外にも脆かったようです。 『頼朝と義時』(講談社現代新書)の著者で日本中世史が専門の歴史学者・呉座勇一氏が、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第5回「兄との約束」について、専門家の視点から見たみどころを解説します。 第1回:いよいよ放送開始!『鎌倉殿の13人』第1話を歴史学者はどう観たか 第2回:仲が悪いけど実は〇〇〇!?伊東祐親と工藤祐経の複雑すぎる関係 第3回:源平合戦の幕開け! なぜ以仁王と源頼政は挙兵するに至ったのか? 第4回:頼朝軍の最初のターゲット! 山木兼隆と堤信遠って何者?? 『鎌倉殿の13人』の第5話では、山木邸討ち入りから石橋山合戦までの怒涛の展開が描かれた。主人公の北条義時は初めて体験する合戦の恐