「全力疾走」という病: 今までの常識や固定観念などにとらわれず、業界に風穴を開けたり、世の中に新しい価値をもたらしたりする変革者が存在する。彼らの多くには明確なゴールがなく、まるでとりつかれたかのように、常に前へ向かって全力で走り続けている。そうした者たちはどのように生きてきて、これからどのように未来を切り開いていくのだろうか。 アパルトヘイトの撤廃、ネルソン・マンデラ氏の大統領就任。歴史的な大転換期を迎えていた1990年代前半の南アフリカで、その少年はひたすら読書に耽っていた。 「日本人学校から帰宅した後は、治安が悪いから外出はできないし、日本からファミコンを持っていくことを親が許してくれなかったので、娯楽といえば本を読むことくらいしかありませんでした。日本人学校の図書館にある本を読み漁っていて、特に遠藤周作を好んで読んでいました」 中学生だった彼は、帰国にあわせて日本の高校受験の勉強も