欧州中央銀行(ECB)が特効薬を投与した。国債の「無制限」購入を約束したマリオ・ドラギ総裁は、ユーロ救済のためなら「何でもやる」という以前の約束を守ったのかもしれない。 しかし、この特効薬は単一通貨を救う過程でそれよりはるかに重要なものを著しく傷つけてしまった。欧州の民主主義である。 今回のECBの行動を受け、ドイツやスペインをはじめとした欧州の有権者は、国家の経済政策にかかわる重要な決定を投票で変えることはもうできないということに次第に気づくことになるだろう。 特にドイツでは、選挙の洗礼を受けないメンバーで構成され、政府からの独立性を誇りとする組織のECBがドイツの納税者に多大な影響を及ぼし得る決断を下したものの、ドイツの納税者にはそれに異を唱えることも覆すこともできないという理解が広まりつつある。 欧州の以前の救済策は、ドイツの議会の承認を得る必要があったし、ドイツの裁判所の審査対象に