■武士たちは、いかに食べ、戦ったか 戦争は戦術・戦略・兵站(へいたん)の3要素から成る。戦術とは戦場でどういう作戦をとるかであり、戦略とは政治や外交を含む幅広い視野のこと。対して兵站とは物資(武器や馬など)の補給であるが、その根本は食料である。「腹が減っては戦はできない」のだ。 戦国の合戦を語るとき、私たちはつい戦術に目を奪われる。桶狭間の戦いは奇襲だったか否か、長篠の戦いの鉄砲三段撃ちは本当か、等々。戦略が語られることは少なく、足利義昭の信長包囲網などが辛うじて当てはまるのみ。兵站となると、もう具体的な様相がまるで分からない。これではいけない。「戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る」(石津朋之氏)というではないか。 戦国大名はどのようにして、どれくらい、兵粮(ひょうろう)を調達していたか。それを知りたければ本書を読もう。そんな感じで書評すればいいかな、と実は思っていた。だが、読