レイヴ真っ盛りの時代に刊行された、ジョン・ラインドンの最初の自伝の最後のほうには、レイヴ・カルチャーは現実逃避でそれじゃ何も現状を変えないというお叱りの言葉が出てくる。この言葉を、ぼくはそのまま「どう思うか?」と、まだフッキー在籍時のニュー・オーダーの4人に対面取材で訊いたことがある。その答えは、まさにその通りだよね。でもね、現実逃避できるから素晴らしいんじゃないのかな、と、そのときの彼らは言った。 昨年、ブラック・ミュージックを専門に論評している音楽ライターの河地依子さんからいろいろ教えていただいたなかで、ぼくがもっとも深く納得したことのひとつに、P-FUNKの──今年河地さんよって詳述された書が刊行される予定なので、ここでは手短に暗喩的な説明にとどめておこう──そう、パーラメントの『マザーシップ・コネクション』の裏ジャケット。デトロイトのゲットーに浮かぶ宇宙船。あの宇宙船はゲットーにや