騒がしい隣人に悩まされてきたから、今度こそ静かに暮らしたい——。 そのように考えた家族がマンションを買って住み始めたところ、隣の住人は「バイオリニスト」だと判明。「業者から説明されなかった」と家族は訴訟を起こしたが、裁判所は「販売業者に説明義務なし」との判決を下した。 販売業者の説明義務違反があったのか、そして契約解除のうえで返金が認められるかが争われ、東京地裁判決はいずれも「認められない」としている。家族はこれを不服として控訴した。 地裁判決ではどのような判断がされたのか。マンションの契約事情にくわしい山之内桂弁護士が解説する。 ●契約準備段階の説明義務違反を「不法行為責任」とした ——どうして説明義務違反ではないと判断されたのでしょうか。 東京地裁は、契約前の説明義務違反の責任を不法行為責任として扱うべきとし、そのうえで信義則上の説明義務違反もなく、契約解除や賠償請求は認められないと判