科学技術振興機構さきがけ研究員 塚田浩二 まず、今回イグノーベル賞を受賞した研究「スピーチ・ジャマー」について紹介します。 イグノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせる」研究に対して贈られる賞です。 後で聞いた話では、5000以上の候補の中から10件程度が選ばれるとのことで、大変光栄に思っています。 「スピーチ・ジャマー」は、話し手の発話を遠隔から阻害することができる装置です。 指向性マイクで話し手の発話を取得し、数百ミリ秒の遅延を加えた上で、指向性スピーカーを用いて相手に出力します。すると、「聴覚遅延フィードバック」により、話し手が思わず口ごもってしまったり、話の速度が遅くなってしまう効果が生じます。これは、自分が直前に発話した音声をわずかに遅れて聞くことになり、「どちらが自分の声なのだろう?」と脳が混乱してしまうことが原因ではないかと考えています。これは、遠隔地、特にイン