「イノベーションを行う人たちは小説の主人公のようではない。リスクを求めて飛び出すよりも時間をかけてキャッシュフローを調べる」 (『イノベーションと企業家精神』ピーター・ドラッカー著、上田惇生訳、ダイヤモンド社) 農業を論ずる人たちの周囲に農家はいるのか 近年、日本農業を取り上げるメディアの報道や、日本農業を論ずる人たち、特にTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関する議論を見ていて気になることがあります。TPPに賛成、反対を問わず、農家と議論した経験がないのではないかと思える主張が目立つように思えるのです。 30年以上前は、そうではありませんでした。大規模化して大量生産すれば農業問題は解決するかのような単純な論調もありましたが、そうした主張を肯定しつつも、農業に携わる人たちに対する同情的な視線を感じる論も少なくありませんでした。 例えば、大規模化したいが、周囲の兼業農家は兼業といえども熱心
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