日本は、ものづくりの技術が強みだ、ものづくりの技術を生かせば、世界をリードできるということがまことしやかに言われ、またそう信じている人が多いと思います。しかし、残念ながら、それは幻想に過ぎません。なにも、「ものづくり」の技術を否定しているわけはなく、ものづくりの技術も強みのひとつにはなるとしても、ビジネスを差別化し、高付加価値化していく決定打にならないし、また日本産業が復活する鍵ともなりません。 市場サープラスという概念があります。それぞれの市場は、例えば、原材料調達などの上流から、中間の製造加工、販売、サービスなどの下流のビジネスが鎖のように連なって成り立っていますが、それぞれの工程で得られるマージン、またその各工程のマージンを積み重ねたバリューチェーンの状況を見たものです。 そして、「ものづくり」が占める市場サープラスは、非常に小さく、しかも全体市場の付加価値に占める比率が低下してきて