2023年10月1日に始まる「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」では、準備が不足すると現場から経理部門まで想定しなかった負荷が降りかかる恐れがある。インボイスは適用税率や税額の明細を明示した請求書や納品書などを指し、「適格請求書発行事業者」として登録した事業者が発行する。制度施行の前後で変わる点を押さえ、取るべき対策をデジタル中心に3回にわたって解説する。第1回の本稿では、請求書を巡る業務上の変更点を説明する。「インボイス残業」にならない備えはできているか、確認してもらいたい。 2023年10月末、印刷事業を手掛けるA社の経理部は想定外の業務に見舞われていた。月次の請求書類の起票締め切り日が近くなり、インボイス(適格請求書)の要件を満たさない請求書や支払いが次々と出てきたからだ。 取引先B社の請求書は記載された事業者の登録番号が誤っており、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で