郷土史料の保護を進める稲葉・熊本大教授。熊本県甲佐町の旧家からは、江戸時代の庄屋の人生訓が書かれた木箱(手前右)を運び出した(10日、熊本市中央区の熊本大で)=泉祥平撮影 熊本地震で損壊した家屋に残された郷土史料を守ろうと、熊本大教授らが民間団体をつくり、活動を始めた。こうした史料は、国や自治体が保護する指定文化財とは異なり、補修費用が所有者の自己負担になることなどから、家屋の解体や改修に伴い、所有者が処分したり、散逸したりしてしまう恐れがあるためだ。団体がすでに保護した中には、江戸時代の庶民の暮らしぶりが分かる記録もあり、メンバーは「時間との闘い。可能な限り、郷土の“財産”を後世に引き継ぐ手伝いをしたい」としている。 団体は、「前震」の9日後の4月23日、県内の大学教授や美術館の学芸員ら15人で結成した「熊本被災史料レスキューネットワーク(熊本史料ネット)」。稲葉継陽(つぐはる)・熊本大