ムーンライダーズが特異なバンドであり続ける理由 優れたリスナー、先鋭的なディガーとしての鈴木慶一の功績 ムーンライダーズは、日本の音楽史において最も特異なバンドの一つである。「現存する日本最古のロックバンド」(中心メンバー鈴木慶一が2023年に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した際の贈賞理由に記載)と言われるとおり、長大なキャリアを持っているのだが、その音楽性は作品ごとに異なり、一貫した味わいを保ちながらも得体の知れない広がりを示し続けている。こうした活動が後続に与えた影響も大きい。鈴木慶一ソロのプロデュースも務めた曽我部恵一(サニーデイ・サービス)や、近年のムーンライダーズに参加している佐藤優介(カメラ=万年筆)と澤部渡(スカート)を筆頭に、永井聖一(相対性理論)やアーバンギャルド、ゆるめるモ!や3776、空間現代といった面々も影響を受け、ムーンライダーズのトリビュート盤やリミックス集に参加