『「心の傷」は言ったもん勝ち』(中嶋聡著・新潮新書)より。 【遺書をのこして自殺でもすれば、それこそ同情が集まり、「傷つけた」とされる相手はとんでもない悪者として扱われる、ということが往々にしてあります。 2007年4月、高崎経済大学の准教授が懲戒免職になりました。この准教授が、大学二年生に対して大学院レベルの課題を与え、期限までに提出しなければ留年だと通告したところ、女子学生が自殺した、その責任を追及されてのことでした。 私はその話を聞いて、開いた口がふさがらなくなりました。この准教授の、いったいどこが悪いのでしょうか。大体、学問を志す者というほど大げさでなくても、大学に入って「ほんとうの学問」を学ぼうとする者が、大学レベルだからできる、大学院レベルだからできないなどと言っていられるでしょうか。もしそんなことを言っているなら、それこそ甘ったれています。また、そうしたむずかしい課題をあえて