地方創生の掛け声が高まっている。地方の発展が、大都市そして日本の将来に大きなカギを握る。企業・事業再生に豊富な知見を持つ、経営共創基盤の冨山和彦CEOに地方経済の実情を聞いた。 そこから導き出された「処方箋」とは。 ――震災復興下の東北で、企業の再建を手掛けられてどのような課題が見えましたか。 地方を議論する場合、誤った「常識」を正す必要があります。まず、「地方は経済が疲弊しているので人手が余っている」という思い込み。人口減少で経済が右肩下がりでも、人手不足の状況が続き、深刻な供給制約経済になっているのです。 ローカル型のサービス産業(第3次産業)は対面型・労働集約型サービスが中心です。また、「地方再生の原動力は製造業と農林水産業」というのも誤解です。従業者数では製造業が2割程度、農林水産業に至っては4%にすぎません。客観的・定量的な数字で現状を分析しないと、やはり議論の方向性を見誤ります