随分前のことだが、北フランスのシャンパーニュ地方を列車で通ったことがある。車窓の外に広がる、なだらかな丘陵地帯には、整列したような緑の低木がずっと連なる。葡萄畑だ。有名なシャンパンは、この地で栽培され、収穫されたブドウだけから作られる。それ以外の土地でできたものは、「発泡性ワイン」と呼ばなければならない。 シャンパーニュ地方の中心地エペルネは、パリを抜いて全国で最も一人あたりの収入の多い、豊かな町だという。ふーん、そうですか。ただ、美しく広がる田園地帯の風景を見ながら、「ここに住む人々は、きっと毎年、天気に一喜一憂しているんだろうなあ」と思った。 農産物とは、天の恵みと、労働の実りとが、かけ合わさってできるものである。どちらも、必要だ。そして天候は、太古の昔から、決して人の願いだけでは左右できない、気まぐれなものだ。つまり、今風に言えば「リスクが大きい」のである。リスクとは、自分たちが簡単
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