はじめまして。2021年2月1日よりウェブマガジン「考える人」の編集長をつとめることになりました、金寿煥と申します。いつもサイトにお立ち寄りいただきありがとうございます。 「考える人」との縁は、2002年の雑誌創刊まで遡ります。その前年、入社以来所属していた写真週刊誌が休刊となり、社内における進路があやふやとなっていた私は、2002年1月に部署異動を命じられ、創刊スタッフとして「考える人」の編集に携わることになりました。とはいえ、まだまだ駆け出しの入社3年目。「考える」どころか、右も左もわかりません。慌ただしく立ち働く諸先輩方の邪魔にならぬよう、ただただ気配を殺していました。 どうして自分が「考える人」なんだろう――。 手持ち無沙汰であった以上に、居心地の悪さを感じたのは、「考える人」というその“屋号”です。口はばったいというか、柄じゃないというか。どう見ても「1勝9敗」で名前負け。そんな
芥見下々『呪術廻戦』第106話より ・そんなSFアンソロジーは2020年11月現在、存在しない。 ・最近読んだ門田光宏『記憶翻訳者 いつか光になる』(創元SF文庫)がウェルメイドな記憶テーマのSFだった。ほかに記憶SFは存在するのか。たぶんある。 ・あらゆる読者は自分だけの架空のアンソロジーを編みたい欲求を持っている。 ・したがって編んでみた。 ・架空のアンソロジーなので文章の長さも国の内外(おもに権利関係)も問わない。 ・ついでに漫画も入れておきたい。同人作品からも入れたい。 記憶翻訳者 いつか光になる (創元SF文庫) 作者:門田 充宏 発売日: 2020/10/22 メディア: 文庫 『記憶SFアンソロジー:ハロー、レミニセンス』収録作品一覧 ・瀬名秀明「最初の記憶」 ・星新一「午後の恐竜」 ・ウィリアム・ギブスン「記憶屋ジョニイ」 ・長谷敏司「地には豊穣」 ・今井哲也「ロスト・イン
スターフィッシュ 著:ピーター・ワッツ 訳:三音高澄 Peter Watts の長編小説 Starfish (1999) の日本語全訳。 原文は CC BY-NC-SA 2.5 の下に提供されており、翻訳はライセンスを継承している。 目次 序章:〈ケラティアス〉 ベントス デュエット 圧迫 ニッチ 大掃除 ローマ 幼形成熟 エレベーターボーイ 恋 オートクレーヴ ウォーターベッド ドッペルゲンガー 天使 野生 シャドウ バレエ ダンサー 短絡 臨界質量 ネクトン ドライバック ジャンプスタート マックレイカー 悲鳴 パピルス 亡霊 引き網 エントロピー 回転木馬 脱皮 アリバイ 隔離 泡 浣腸 変節 ヘッドチーズ 主題と変奏 グラウンド・ゼロ ソフトウェア RACTER エンドゲーム 夜勤 散開 爬虫類 スカイホップ 光の洪水 日の出 エリコ デトリタス 参考文献 謝辞 スターフィッシュ
「ディストラクション」 by ブルース・スターリング 昔から政治には目がないブルース・スターリングが、21世紀半ばのアメリカ合衆国を舞台に描いた本格的な政治小説。であると同時に、ユーモラスな恋愛小説としての比重も高いのが特徴。つまり、いかにもスターリングらしいハイパーアクティブな主人公が恋に仕事に大活躍します。 ……いや、面白いんですよ? すっかり斜陽の2040年代のアメリカ。科学研究の成果が国益に還元されない悪循環の果てに、燃料費もろくにもらえない空軍は切羽詰まったあげく幹線道路を勝手に封鎖し、パンだのコーヒーだのを通行客に売りつけて金を稼ぐという有様。銃を持った兵士が車の窓を叩いて「暖かいコーヒーはいかがですか?お代はお志で」……そんなカツアゲ・エアフォースの牧歌的な光景で物語は始まります。 なんの力もない政府に見切りをつけたアメリカ国民の大部分は経済システムから遊離し、疲弊しきった土
ゼロ年代に発表された海外SF短篇を選りすぐった日本オリジナル・アンソロジー『2000年代海外SF傑作選』発売(11/19・木)までもう少し! 本日は本作の編者を務めた橋本輝幸氏による、収録作品見どころガイドを掲載いたします! 『2000年代海外SF傑作選』収録作品リスト公開 橋本輝幸(SF書評家) 前回からはや3カ月、読者の皆さまが目次の公開はまだかと気を揉んでいただろうことは想像に難くありません。このたびようやく、『2000年代海外SF傑作選』の目次をシェアできる段階までこぎつけました。早川書房の皆さま、翻訳家の皆さま他、ご尽力くださった全ての関係者の方にこの場を借りてまずは御礼申し上げます。 それではさっそくですが、『2000年代海外SF傑作選』に収録される、00年代を代表するSF作家たちの9篇をご紹介します。 1「ミセス・ゼノンのパラドックス」エレン・クレイジャズ/井上 知訳★初訳
2000年代に発表された海外SFの名短篇を精選した、『2000年代海外SF傑作選』がハヤカワ文庫SFからついに発売となります! 編集は橋本輝幸氏。実に18年ぶりの年代別アンソロジーとなります! 本ページではさっそくその収録作品を公開いたします! 「ミセス・ゼノンのパラドックス」エレン・クレイジャズ/井上 知訳★初訳 「懐かしき主人の声(ヒズ・マスターズ・ボイス)」ハンヌ・ライアニエミ/酒井昭伸訳 「第二人称現在形」ダリル・グレゴリイ/嶋田洋一訳 「地火」劉慈欣/大森 望・齊藤正高訳★初訳 「シスアドが世界を支配するとき」コリイ・ドクトロウ/矢口 悟訳 「コールダー・ウォー」チャールズ・ストロス/金子 浩訳 「可能性はゼロじゃない」N・K・ジェミシン/市田 泉訳 「暗黒整数」グレッグ・イーガン/山岸 真訳 「ジーマ・ブルー」アレステア・レナルズ/中原尚哉訳★初訳 2000年代に発表された、ま
Strange Festival × Speculative Fiction 奇祭が奇想と出会うとき、やがて積もり、いつか結び、かねて繰り返される因習が、未来からの手引きとなってわたしたちの延長線上に蠢きはじめる。虚構の語りに踊る創作群が祭り囃子を呼び寄せる、異色の奇祭SFアンソロジー (追記)Kindle版出たぞ!!! というわけで11月22日に開催される第三十一回文学フリマ東京にて頒布される、ねじれ双角錐群の奇祭SFアンソロジー『来たるべき因習』に参加しています。スペースはカ-10、Webカタログはこちら! 各作品のあらすじ(宣伝文)もあるぞ! 11/8追記:公式サイトのページもできたぞ!! 文フリ東京は、五月の開催が中止され、今回は一年ぶりの開催、感染症対策をしながら、ということで色々大変だろうし大変なのですが、でも文学と濃厚接触したいという方は是非会場にお越しください(COCO
恐竜やアンモナイトを世話する日常 M.A.F. 恐竜やアンモナイトといった化石の生き物を蘇らせ、動物園、水族館、牧場、自宅……、いろんなところで飼育している少女ないし淑女達が主人公の短編(掌編)小説です。 恐竜をペットとして一緒に暮らしたり、カンブリアンモンスターなどの不思議な生き物と水族館で出会えたり、ときにはアンモナイトを食べちゃうことも。 飼育している本人と同じように生き物が好きな人と出会うこともあれば、生き物のことなんて全然知らない人から主人公をはるかに超えるマニアまで、色々な人との交流や摩擦が古生物飼育を通じて起こります。 それぞれ読み切りのお話で、別々の生き物を別々の主人公が別々の場所で飼育します。 分からない生き物が出てきたときは文末の解説をご参照ください。 こちらのサイトに掲載しているものと同じ内容です。 http://mafatfctwo.web.fc2.com/siso
カトリックの支配で科学技術の発達が抑制された英国を舞台にした改変歴史SF『パヴァーヌ』で知られるキース・ロバーツ。 1980年に発表された『モリー・ゼロ(Molly Zero)』は、近未来の英国を舞台にしたディストピアSF……だったはずが、近未来描写に現実がほぼ追いついた2020年に読む本作は、20世紀末あたりに分岐した、科学技術の抑制された「もうひとつの英国」の姿を描く改変歴史SFになっていた!? そしてまた、本作は幾多の英国児童文学へのリスペクトが盛りこまれたロバーツ流SF児童文学でもあった。それと、百合(笑)!? 翻訳の過程で調査・考察した長めの解説を各巻に、また、訳文に盛り込めなかったいろいろな事項を200以上の訳注として付しました。 ※2021/05/05 誤字修正、改訳2箇所、脚注追加・加筆修正の第2刷完成。5月下旬以上第2刷の頒布に切り替わります。 カトリックの支配で科学技術
『SFマガジン』編集長・塩澤快浩が語る、SFが多様性を獲得するまで 「生き延びることしか考えてきませんでした」 2020年2月号が創刊60周年記念号となった「SFマガジン」を発行する早川書房は今年、ハヤカワ文庫創刊50周年を迎え、「ミステリマガジン」9月号、「SFマガジン」10月号でそれぞれ記念特集を組んだ。 長年、SFにかかわり、現在では国内と翻訳の編集部全体を統括する立場の塩澤快浩氏(早川書房事業本部副本部長兼編集統括部長兼SFマガジン編集長)にジャンルの専門誌である「SFマガジン」の歩み、SFの過去と現在について訊いた。(9月15日取材/円堂都司昭) 「SFマガジン」の仕事を始めてからSFを読み始める ――早川書房へ入社する前は、SFに興味がなかったそうですね。 塩澤:高校の頃から翻訳もののハードボイルド、冒険小説を読み始めました。大学時代もそういうものばかり読んで就職活動はほとんど
葦沢です。小説執筆AIを開発したり、自分で小説を書いたりしております。 自身で小説を書く際に「小説を書くAI」をテーマにしたいと思い、既存作品との差別化を意識するようになりました。 その流れで「小説を書くAI」をテーマにした小説について一覧化したものが無いなと思っていたので、自分で作ることにしました。ネタバレに配慮しつつ、簡単に書評も載せています。 ……などと偉そうなことを言っていますが、筆者も未読の作品があり、全てに書評を書けておりません。読み次第、更新していければと思います(と言わないと尻に火が付かない人間)。 ここには書籍を載せていますが、Webにも「小説を書くAI」をテーマにした小説は散見されます。また、実際にAIを使って書かれた小説もWeb上で公開されたりしています。それらも需要と筆者の余裕があれば別枠でまとめてみようと思います。 ここに挙げた作品が全てではないと思うので、もし漏
『オクトローグ 酉島伝法作品集成』 酉島 伝法 早川書房 2,530円(税込) 商品を購入する Amazon HMV&BOOKS 『日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)』 伴名 練,れおえん 早川書房 1,100円(税込) 商品を購入する Amazon HMV&BOOKS 『日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫 JA ハ 11-2)』 伴名 練,れおえん 早川書房 1,100円(税込) 商品を購入する Amazon HMV&BOOKS 『枝角の冠 第3回ゲンロンSF新人賞受賞作 ゲンロンSF文庫 (株式会社ゲンロン)』 琴柱 遥,大森 望 株式会社ゲンロン 商品を購入する Amazon 『推しの三原則 第3回ゲンロンSF新人賞大森望賞受賞作 ゲンロンSF文庫 (株式会社ゲンロン)』 進藤 尚典,大森 望 株式会社ゲンロン 商品を購入する
波動関数だの、不確定性原理だの、平行宇宙論といったものについての僕の理解は、女性心理に対するそれと同じくらいあやふやなので説明は省略するよ。 ともかく、それら空想的概念から、ある日ど豪い発見が導き出され、それを元にしてど凄い発明が生み出された。たぶん、政府当局がそいつを発表前に掴んだら、黒い陰謀によって関係者は全員謎の事故死、モノも闇に消えて、一般国民がそれを知ることは永遠になかった――なんてことになったんじゃないかな。それほどおっそろしい、驚天動地の発明だったんだ。 発明者も、それを秘密裏に抱えつづけていたら命が危ないと思ったんだろうね。先手を打って、ネットとマスコミにばーんと発表してしまった。政府は泡を食って事態をコントロールしようとしたけど、吹き荒れる世論の前には政治家のお題目なんぞたんぽぽの綿毛みたいなもんで、ついにはその発明品を国が大量生産、国民の大部分に配布する、ってことになっ
VG+編集部 更新日2020.07.24 かぐやSFコンテスト最終候補の11作品を全文公開。7/24〜8/7まで読者投票受付中! 最高のSFショートショートを決めよう! SFメディアのバゴプラが主催する「第一回かぐやSFコンテスト」の最終候補作品を公開しました。かぐやSFコンテストでは、4,000字以内のSF短編小説を募集。プロアマ問わず応募を受け付け、最優秀作品には英語・中国語に翻訳してウェブ上に掲載という副賞を用意しました。また、審査委員会によって最終候補に選ばれた作品には、筆者匿名で全文を公開して読者投票期間を設ける独自のシステムを採用しています。 記念すべき第一回目は、審査委員長にSF小説の紹介者/書評家として活躍する橋本輝幸さんを迎え、「未来の学校」をテーマにしたSFショートショートを募集しました。6月7日から7月6日までの応募期間中に、360名から416作品の応募が集まり、審査
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