「官邸介入」稲田検事総長の大誤算 検察官適格審査会への審査申し立てや行政訴訟などが相次ぐとみられ、7月まで予断を許さない。 2020年3月号 POLITICS 安倍政権に近く、本誌も「官邸の代理人」「腹黒川」として何度も取り上げてきた黒川弘務東京高検検事長が2月7日の定年後も勤務を延長できるようにした1月31日の閣議決定は、検察内に大きな衝撃を与えた。検察官の定年延長は前代未聞。「ここまでやるのか」。安倍政権の人事介入にも限界があると考えていた稲田伸夫検事総長には、大誤算の出来事だったに違いない。検察関係者によると、検事総長は数代先まで候補者を絞り込み、その候補者は法務省刑事局長、法務事務次官、東京や大阪以外の高検検事長、東京高検検事長といった「検事総長コース」を駆け上がっていく。検事総長の任期は2年が慣例で、現職が自分の退任時期と後任者を最終的に決めてきた。「政府・与党が検察の人事に口出