先進国のビール需要の伸び悩み、新興国市場の成長という環境下で近年、ビール業界では大型M&A(企業の買収・合併)が相次いだ。その結果、販売量で日本のビール会社の7倍以上に達する巨大ビール会社が相次いで誕生している。 2005年における世界シェア上位5社はベルギーのインベブ(シェア14%)、南アフリカ共和国のSABミラー(同12.2%)、米国のアンハイザーブッシュ(同11%)、オランダのハイネケン(同8.1%)、デンマークのカールスバーグ(同4.4%)となっている(図)。巨大ビール会社はさらに新興国市場のローカルブランドのビール会社を買収して、傘下に収めている。 再編する3つの理由 これらの巨大ビール会社の収益源は主に、(1)新興国市場、(2)コスト削減、(3)プレミアムビールへのシフト――の3つに分類される。 まず新興国市場への進出強化を見てみたい。中国、ロシア、ブラジルなどの新興国はビール
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