第147回 直木賞受賞作。5つの短編小説からなるオムニバスドラマで、主人公の女性たちの日常に起こる出来事。 恋愛、結婚、出産をめぐる普通の幸せやささやかな夢を叶えるためのkeyを手に入れようと進んだ方向に偶然にして必然のように犯罪に遭遇する。犯罪を傍観する彼女たちの感情や行動は、まるで魔が差したように、犯罪に絡んでいく。 読者はまるで自分がその瞬間を傍観しているような気になり、自分にも起こり得るかもしれないという恐怖と怖いものみたさのような感覚に陥り、ついつい読み進めてしまう。 仁志野町の泥棒 主人公・ミチルが母に誘われて参加した「お伊勢参りバスツアー」のガイドが小学校の同級生・水上律子であった。 律子は小学3年生の時に隣町から引っ越しできたが、律子の母親の泥棒癖のためで、ミチルの家に泥棒に入っているところに居合わせる。友達の優美子の態度に影響を受け母親の癖と律子とは仲良くしていたが、律子
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