秋元雄史氏の『直島誕生』は、現代アートに関わる全ての人々にとって必読の書である。 直島を舞台に、日本における現代アートがどう生まれ、どう育ってきたのか、そしてそれは世界のアートとどう繋がっているのか。その全貌が、直島プロジェクトの始まりから地中美術館の立ち上がりまで、15年間もの長きにわたってこのプロジェクトを率いてきた秋元氏自身の言葉によって語られている。 直島(なおしま)は、瀬戸内海に浮かぶ人口3千人ほどの小さな島である。以前は銅精錬所と煙害で有名だったこの島は、現代アートの島として生まれ変わり、今では年間約 70万人もの観光客が押し寄せている。 現代アートファンの多い欧米の富裕層相手の旅行会社の多くは、日本旅行の訪問先として京都とセットで直島を選んでおり、場合によっては、日本旅行の目玉が直島そのものということもある。 このアートプロジェクトを中心になって推進するベネッセと福武財団は、