――筆者のセス・クロプシー氏は米シンクタンク、ヨークタウン・インスティテュートの設立者で代表を務めている。海軍副次官を務めた経験があり、著書に「Mayday」や「Seablindness」がある。 *** 米国は差し迫った大国間の戦争に対して備えができていない。これは広く理解されているが、米国の戦争準備に関する論評のほとんどは、三つの極めて重要な点を見落としている。それは、想定される中国との紛争の時間的見通し、米国の軍事力の構築と維持という兵たん上の課題、そして現在の装備品備蓄を補充・拡充することが困難だという産業上の問題だ。中国と戦争に突入すれば、勝敗は主に、高性能兵器システムではなく、伝統的な軍事力の要素によって決まる。 新たな冷戦が始まった。その核心には、アジアの安全保障上の構造に関する米中間の根本的な意見の相違がある。最初の東西冷戦期の対立は、ソ連が米国に対し、欧州から、そしてより