アルコールはどんな薬物よりも危険性が高い−。英国の科学者らが、20種類の薬物の人体への有害性や依存度、他人への悪影響などの項目で評価、比較したところ、人類にとってアルコールはコカインやヘロインよりもさらに危険な物質であるとの結論を導き出した。飲酒運転事故、酒浸りの親、夫による幼児虐待や家庭内暴力、そして、酩酊(めいてい)状態に陥った状態での殺人…。健康被害にとどまらず、酒にまつわる事件や事故は枚挙にいとまがないが、違法薬物に比べると、アルコール害については比較的、軽く見積もられる傾向があるだけに、この報告書は日本社会にも大きな警鐘を鳴らしそうだ。(佐々木正明) 世界保健機関(WHO)によれば、アルコールが原因で死亡する人は、年間約250万人いるという。内臓疾患による病死、自殺などが含まれ、人類のあらゆるの死因のうち3・8%はアルコールが関連していると分析されている。アルコールは人間の健康、