今年没後50年を迎える江戸川乱歩。長編小説『火花』(文藝春秋刊)がベストセラーとなっているお笑いコンビ「ピース」又吉直樹氏(34)も熱心な読み手だ。又吉氏が乱歩の魅力を語った。 * * * 乱歩作品に共通するジワジワくる怖さや不思議な緊張感にも引き込まれますが、いちばん重要なのは、読み手が主人公の欲望を“少し”理解できることやと思います。乱歩の作品は、たんなる変態の話ではない。 「人間椅子」なら、椅子に入って好きな人に座られたいという主人公の屈折した欲望にどこか共感できるし、鏡の世界に閉じこもる「鏡地獄」もそう。屋根裏を歩き回って節穴から住人の私生活をのぞき見する「屋根裏の散歩者」の郷田三郎の気持ちなんて、実際にやらないにせよ、男ならメチャメチャわかりますよね。だから読むとワクワクするんです。 他の作家と比べても、設定があってフリやオチもしっかりしていて、途中の世界観も面白い。短い話の中に
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